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生活習慣病 2025.08.15

あなたのコレステロール値、高いのはトランス脂肪酸のせい?体への影響を知ろう


血液検査で「コレステロール値が高い」と言われて、不安になった経験はありませんか?
実は、その背景には“トランス脂肪酸”の摂りすぎが関係している可能性もあります。

このコラムでは、トランス脂肪酸とは何か、体への影響や食品業界の取り組み、海外での規制の現状などをわかりやすく解説します。
日々の食生活を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてください。

トランス脂肪酸は本当に悪者?


トランス脂肪酸は、植物油などを加工してマーガリンやショートニングなどを作る際に発生する“人工的な脂肪酸”の一種です。
パンやクッキー、スナック菓子など、身近な食品に広く使われています。

ただし、このトランス脂肪酸を摂りすぎると、悪玉(LDL)コレステロールを増やし、善玉(HDL)コレステロールを減らすことがわかっています。

その結果、動脈硬化や心疾患のリスクが高まるとされ、世界的にも「控えるべき脂肪」として位置づけられています。
つまり、完全に“悪”ではないものの、摂取量を減らす工夫がとても大切なのです。

食品業界でも進む“トランス脂肪酸ゼロ”への動き


近年、健康志向の高まりや生活習慣病予防への意識の向上を背景に、日本国内でもトランス脂肪酸を減らそうとする動きが活発になっています。
とくにパンやお菓子、マーガリン、スプレッドなど、これまでトランス脂肪酸が多く含まれていた加工食品で、その含有量を抑える工夫が進められてきました。

メーカー各社は、製造工程の見直しや原材料の改良を行い、「トランス脂肪酸ゼロ」や「低減」をうたう商品を次々と開発・販売しています。
この背景には、世界的な健康リスクへの警鐘や、食品表示制度の充実により消費者が選択しやすくなったことも大きく影響しています。

こうした取り組みは、私たちが毎日何気なく手に取る食品の安全性や健康面での安心感を支える重要な一歩です。
買い物のときにはパッケージの裏面や成分表示をチェックし、「部分水素添加油脂」などの記載がないか確認することも、日常生活でできる身近な工夫です。

一見小さな意識の変化でも、積み重ねることで健康への大きな差につながります。
日々の選択が未来の体を作ると考えて、できることから始めてみましょう。


海外での規制はどうなっている?

世界ではトランス脂肪酸の健康リスクが早くから指摘され、規制強化の流れが加速しています。
たとえばアメリカでは2018年以降、食品への使用を原則禁止とし、メーカーは製造方法やレシピの大幅な見直しを余儀なくされました。
さらにデンマークやスイスなどの欧州諸国も、トランス脂肪酸の含有量に厳しい上限を設定し、市場からの排除を進めています。
こうした取り組みによって、国レベルで心疾患リスクの低下や生活習慣病予防への効果が報告されるなど、健康面での成果が少しずつ形となって表れています。

一方、日本では現時点で法律による明確な規制は設けられていません。
しかし、厚生労働省は「トランス脂肪酸の摂取量はエネルギーの総摂取量の1%未満に抑えることが望ましい」と公式に推奨し、注意喚起を続けています。

消費者としても世界の動向を知りつつ、日々の食生活で摂取量を意識することが重要と言えるでしょう。

脂肪酸の種類と体への影響を整理しよう

脂肪酸には大きく分けて「トランス脂肪酸」「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」があります。
脂肪酸の種類ごとに特徴や体への影響を整理してみましょう。

種類主な特徴体への影響多く含む食品
トランス脂肪酸加工で作られることが多いLDLコレステロール↑
HDLコレステロール↓
動脈効果リスク↑
マーガリン、ショートニング、スナック菓子など
飽和脂肪酸動物性食品や一部植物油に含まれるLDLコレステロール↑
過剰摂取で心疾患リスク↑
バター、牛肉、ラード、ココナッツオイルなど
不飽和脂肪酸植物油や魚に多い
(オメガ3・6・9など)
LDLコレステロール↓
血流改善抗炎症作用など
オリーブオイル、青魚、ナッツ、アボカドなど


特に不飽和脂肪酸は、「体にいい脂」として積極的に取り入れたい成分です。
毎日の食事で青魚やナッツ、オリーブオイルを選ぶことで、自然とバランスのとれた脂質摂取が期待できます。
体に負担をかけにくい脂を味方にして、将来の健康維持や生活習慣病予防につなげていきましょう。

今日からできる!取り入れやすい食生活の改善

「じゃあ何を食べればいいの?」と迷う方も多いと思います。
毎日の食生活でできる小さな工夫を紹介します。

  • マーガリンの代わりにオリーブオイルやバターを使う
  • スナック菓子や揚げ物は週1回など回数を決める
  • 青魚やナッツなど不飽和脂肪酸を多く含む食品を取り入れる
  • 加工食品の成分表示を見て「部分水素添加油脂」の記載をチェックする

こうした工夫を積み重ねることで、自然とトランス脂肪酸の摂取量を減らせます。
無理な制限をせず、日々の中で少しずつ取り入れてみることが大切です。
食事は“減らす”よりも“置き換える”という意識で前向きに取り組んでみましょう。

最後に

トランス脂肪酸を完全にゼロにするのは難しくても、知識を持つことで選択肢は広がります。
体に優しい脂の摂り方を意識することで、無理なくコレステロール値の改善や将来の健康維持につなげていきましょう。

参考文献

 

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