フレイル・サルコペニアをご存知でしょうか。
名前はなんとなく聞いたことがあっても、どのような状態を指すかわからない方もいるかもしれません。

本記事では、フレイル・サルコペニアの概要やセルフチェックの目安、予防方法について解説します。
フレイル・サルコペニアを予防し、健康的な生活を送りましょう。

フレイルとは？サルコペニアとは？

フレイルとは、年齢を重ねることで心身が衰えた状態です。
さまざまな合併症を引き起こすリスクがあり、生活の質の低下を招きます。

サルコペニアとは、筋肉量の減少を指す状態です。筋肉が低下することで身体機能が下がり、転倒のリスクや要介護状態になるリスクがあります。

フレイルやサルコペニアを予防することで、疾患の重症化を防ぎ、健康的な生活が送れるようになります。

40歳からのフレイルチェック

フレイルを放置すると、生活の質が下がり、健康を損ねるリスクがあります。
40歳以降の方は、自身にフレイルのリスクがないかを確かめるために、以下の内容に該当しないかチェックしてみてください。

フレイルチェック

上記のいずれかにひとつでも当てはまる場合、フレイルのリスクがあるため、予防する必要があります。

75歳からのフレイル健診

75歳（後期高齢者）から受診可能なフレイル健診では、「後期高齢者の質問票」が使用されています。
後期高齢者の質問票は、高齢者の健康状態を総合的に把握できるように作られた質問です。

高齢者の健康状態や食習慣、口腔機能や体重変化などの情報を得たうえで、高齢者自身のフレイルに対する関心を高めたり、生活改善を促したりする目的もあります。

後期高齢者の質問票の具体的な内容は以下のとおりです。

質問の種類	質問内容
健康状態	現在の健康状態はどうですか？
心の健康状態	毎日の生活に満足していますか？
食習慣	1日3食きちんと食べていますか？
口腔機能	半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか？
	汁物やお茶でむせることがありますか？
体重の変化	直近の6ヶ月間で2〜3kg以上の体重減少はありましたか？
運動・転倒	以前に比べて歩く速度が遅くなりましたか？
	直近の1年間で転んだ経験はありますか？
	ウォーキングなどの運動を週に1回以上していますか？
認知機能	周りの人から物忘れの傾向があると言われますか？
	今日が何月何日かわからないことがありますか？
喫煙	たばこを吸いますか？
社会参加	週に1回以上は外出していますか？
	普段から友人や家族と付き合いがありますか？
ソーシャルサポート	体調が悪いときに身近に相談できる人がいますか？

高齢者の社会参加の重要性

少子高齢化の進行により、超高齢化社会を迎えている日本では、高齢者の社会参加が重要とされています。
これには、単独・夫婦のみの高齢者世帯や要介護者数の増加が背景にあります。

一方で、生活支援をおこなう介護人材や家族の方のマンパワーが不足しており、高齢者をサポートする力は低下するでしょう。

今後、高齢者の社会参加を促すために、以下の取り組みを強化する必要があります。

高齢者のスキル・知識を生かす場をつくる

高齢者のスキルや知識を生かす場を設けることで、社会参加へのモチベーションを高められます。
たとえば、地域学校協働活動では、放課後の体験活動や郷土学習などで高齢者のスキルや知見が活用可能です。

また、高齢者生きがい活動促進事業では、有償ボランティア活用によって一定の収入を得ながら高齢者自らの生きがいや健康づくりにつなげられます。

ICTを活用した活動の場をつくる

ICTを活用し、オンラインによる情報提供と活動の場をつくる方法があります。

たとえば、オンラインプラットフォームを構築して情報発信の場をつくったり、地域住民同士がお困りごとを相談できるSNSをつくったりする取り組みが挙げられます。

フレイル・サルコペニア予防のための生活習慣

フレイル・サルコペニアは、生活習慣を工夫することで、予防につなげられます。
健康状態を維持するために、以下の習慣を取り入れてみましょう。

フレイル・サルコペニア予防のための生活習慣	概要
運動習慣	ウォーキングやラジオ体操といった無理なく始められる運動を取り入れる。
食習慣	肉や魚に含まれる動物性たんぱく質を摂取する。肉や魚を食べるのに抵抗がある場合は、たんぱく質を含むソフトクリームやプリンなどからチャレンジする。
記録をつける	運動習慣や食習慣を継続するために、その日に歩いた歩数や食べたものを記録する。行動を可視化することで習慣化につながりやすくなる。

上記の習慣に加え、フレイル健診を定期的に受診し、自身の健康状態を維持していきましょう。