健康診断
会社の健康診断はどこまで費用負担?自己負担になるケースを整理

「会社の健診って無料のはずでは?」「追加検査をすすめられたけど、これも会社持ち?」——健診シーズンになると、費用負担の線引きで迷う方が多いと思います。
結論から言うと、会社に実施義務がある“法定健診”は原則会社負担。一方で、本人の希望で足す検査や、健診後に医療機関で行う検査は自己負担になりやすい、というのが大枠です。
ただし、雇用形態(パート・派遣など)や、再検査が「健診の範囲の確認」なのか「病気の診断のための精密検査」なのかで扱いが変わることがあります。ここを整理しておくと、ムダな出費や「それ会社負担じゃないの?」というモヤモヤが減ります。
会社の健診は義務?法的位置づけをざっくり整理
事業者(会社)は、労働者に対して医師による健康診断を実施する義務があります。代表的なのが、雇い入れ時の健康診断(雇入時健診)と、年1回の定期健康診断(定期健診)です。
そして重要なのが費用の考え方です。厚生労働省のQ&Aでは、労働安全衛生法等で義務づけられている健康診断の費用は、事業者が負担すべきもの、という整理が示されています。
つまり「会社がやらなければならない健診=会社負担」が基本線になります。
会社負担と自己負担の境界
会社負担になるもの
1.法定の一般健康診断
・雇入時健診(雇い入れ時)
・定期健診(原則として1年以内ごとに1回)
2.法定の特殊健康診断(該当する有害業務に従事する場合)
派遣の場合などは「誰が実施主体か」で費用負担者が分かれます(後述)。
自己負担になりやすいもの
- 法定項目にない任意追加(例:腹部エコー、腫瘍マーカーなど)
- 人間ドック(任意型)
- 健診後の精密検査(医療機関で診断目的に行う検査)
- 自治体のがん検診で、対象外・受診間隔外などの条件を外れて受ける場合(原則として制度適用外)
ポイント
ここでのコツは、「会社の契約メニューの中か」「本人が希望して足したものか」「診断・治療のための医療行為か」で分けて考えることです。
“法定健診”の中身:何が会社健診に含まれる?
法定の一般健診は、ざっくり言うと「働くうえでの健康状態を定期的にチェックする基本セット」です。
例として、定期健診(安衛則第44条相当)の代表的項目は、
- 既往歴・業務歴
- 自覚症状・他覚所見
- 身体計測
- 視力・聴力
- 胸部エックス線
- 血圧、尿検査
- 血液検査(貧血・肝機能・脂質・血糖)
- 心電図などが挙げられています。
雇入時健診でも、同様の項目が列挙されています。
一方、腹部エコーや腫瘍マーカーなどは、一般に法定項目ではない「追加(オプション)」として扱われやすく、本人負担になりやすい領域です(会社が福利厚生として付けている場合は別です)。
「同日に追加した検査」は誰の負担?
実務上いちばん揉めやすいのがここです。
会社の健診と同じ日に「ついでに」オプション検査を追加すると、会計が混ざって分かりにくくなりますが、原則はこう考えると整理できます。
・会社が指定した健診コース(会社契約)に含まれる → 会社負担
・本人が希望して追加したオプション → 本人負担(受付で追加分だけ支払いになることが多い)
ただし、会社が「このオプションも全員につける」と決めて契約している場合は会社負担になり得ます。結局のところ、最終判断は社内規程(福利厚生や健診規程)と、健診機関との契約内容で決まります。
再検査・精密検査は自己負担?ここは“言葉の違い”が大事
健診後に「再検査」「精密検査」と言われたとき、費用の扱いは一律ではありません。
1.健診の範囲内で“検査値を確定させる再検査”
たとえば一時的な数値ブレを確認するために、同じ項目をもう一度測るような「再検査」は、健康診断の範囲内として事業者負担が望ましい、という整理が示されています。
ここは会社・健診機関の運用にもよるので、「これは健診の再検査として扱われるか(会社契約の範囲か)」を確認するとスムーズです。
2)病気の有無を判断する“診断目的の精密検査”
一方、医療機関で診断を目的に行う検査(画像検査や内視鏡など)は、一般に保険診療として進むことが多く、自己負担(通常の医療費の自己負担分)が発生します。
ただし例外として、一定条件に当てはまる場合に、労災保険の「二次健康診断等給付」で無料受診できる制度があります(年度内1回、無料で二次健診と特定保健指導を受けられる旨が示されています)。
つまり、「会社健診の続きとしての再検査」なのか、「医療としての精密検査」なのかで、負担の考え方が変わります。
パート・派遣・フリーランス:誰が実施して、誰が払う?
パート・アルバイト
ポイントは「常時使用する労働者」に当たるかどうかです。
目安として
(1)雇用期間が1年以上見込み(または期間の定めなし/1年以上の雇用実績)
(2)週所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上、などの考え方が示されています。加えて、条件次第では“概ね2分の1以上”の方にも実施が望ましいとされています。
対象に当たる場合、定期健診は会社の実施義務・会社負担が基本です
派遣労働者
派遣は役割分担が明確です。
・一般健診(雇入時・定期):派遣元が実施義務、費用も派遣元負担
・特殊健診(有害業務):原則として派遣先が実施義務、費用も派遣先負担
現場では日程調整を派遣元・派遣先で連携して行うことが望ましい、という趣旨も示されています。
フリーランス・個人事業主
法定の会社健診の枠組みではないため、基本は自己手配・自己負担になります(ただし加入している保険者の補助や自治体制度を使って負担を軽くする余地はあります)。
人間ドック・保険者健診を使うと、自己負担はどこまで下がる?
人間ドック自体は任意で、会社負担に必ずなるものではありません。けれど「保険者の補助」をうまく使うと、自己負担が想像より軽くなることがあります。
代表例として、全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診は、自己負担額の上限が示されており、令和7年度の一般健診は“最高5,282円”などと掲載されています。付加健診や乳がん・子宮頸がん検診等の追加も上限額が示されています。
「会社の法定健診+保険者の補助健診」をどう組み合わせるかは、重複を避けるのがコツです(同じ項目を二重に払わない)。
大阪で受けるなら:自治体がん検診も“条件内なら”安い
大阪市のがん検診は、対象年齢や受診間隔などの要件のもとで、自己負担額が比較的低額に設定されています(例:大腸がん検診300円、胃がん検診500円等の記載がある資料があります)。
逆に言うと、要件から外れて受ける場合は制度の対象外になり、全額自己負担になり得ます。受診前に「年齢・間隔・実施場所(取扱医療機関など)」を確認しておくと安心です。
まとめ:ムダなく受けるための“費用の見取り図”
- 法定健診(雇入時・定期・特殊)は原則会社負担
- 任意の追加検査・人間ドックは原則本人負担。ただし社内規程や保険者補助で変わる
- 健診後の「再検査」は、健診範囲の確認か/診断目的の精密検査かで扱いが分かれる(労災の二次健診給付など例外も)
- パートは“常時使用”の考え方に当てはまれば会社健診の対象、派遣は一般健診=派遣元/特殊健診=派遣先が基本
「会社の健診」「保険者の補助健診(協会けんぽ等)」「自治体のがん検診(大阪市等)」は、上手に組み合わせると、費用を抑えながら必要なチェックを過不足なく受けられます。迷ったら
1.会社の健診案内(契約範囲)
2.加入保険者の補助制度
3.自治体検診の対象条件
の順で確認するのが最短ルートです。