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健康情報 2025.06.27

放置しないで!ピロリ菌の感染経路と治療法について


胃に炎症を引き起こすピロリ菌をご存知でしょうか。
ピロリ菌に感染すると、さまざまな病気に発展し、健康を損なうリスクがあります。
本記事ではピロリ菌の感染経路や、ピロリ菌の感染によって引き起こされる疾患、治療方法について解説します。
万が一ピロリ菌に感染した際にも、速やかに対処できるよう、知識を深めておきましょう。

ピロリ菌ってなに?


ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは、胃の粘膜に生息している螺旋の形をした細菌です。
胃には胃酸があるため、通常の細菌は生息できません。
しかし、ピロリ菌の場合「ウレアーゼ」と呼ばれる酵素を活用することで胃酸を中和し、アルカリ性の環境に変化させ、胃の中に生息しています。
ピロリ菌は幼少期に感染し、胃の中で生息し続けることで、さまざまな病気を引き起こすと考えられています。
なかには、命に関わるような疾患につながることもあるため、感染が確認され次第、速やかに除菌することが重要です。

ピロリ菌の感染経路


ピロリ菌の感染経路については、はっきりとわかっていませんが、経口感染が主な要因と考えられています。
これまでに国内外で確認されている感染経路は、以下のとおりです。

家庭内の感染

親が子どもに離乳食を口移しで食べさせると、感染する可能性が高くなると考えられています。
とくに乳幼児期の場合、胃酸の酸性度が低く、胃の免疫が弱いため、ピロリ菌が定着しやすい状態になっています。
そのため感染のリスクが高くなるでしょう。

不衛生な環境での感染

極めて不衛生な環境下で生活を強いられる発展途上国では、ゴキブリやハエ、井戸水などを介してピロリ菌に感染する可能性があります。

医療現場での感染

海外の医療機関では、口に使用する器具が十分に殺菌・消毒されていなかったことで感染拡大につながった事例があります。
日本の医療機関の場合、器具の殺菌・消毒に関するガイドラインが規定されており、徹底した衛生管理がされているため、上記のような感染リスクは低いです。


ピロリ菌感染による健康被害

ピロリ菌に感染すると、胃に悪影響が及び、さまざまな健康被害が出る可能性があります。
感染後に発症するリスクのある主な病気は、以下のとおりです。

慢性胃炎

慢性胃炎とは、胃の中で慢性的に炎症が広がり続ける疾患です。
ピロリ菌が胃に感染すると、胃粘膜が萎縮し、萎縮性胃炎を引き起こします。
また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などに移行するリスクもあります。
栄養バランスの悪い食生活や睡眠不足、過度な喫煙・飲酒などで悪化する可能性もあるでしょう。
速やかに胃炎の進行を止めるための除菌治療が求められます。

萎縮性胃炎

萎縮性胃炎とは、胃酸を分泌する組織が減り、胃粘膜が萎縮した状態になる疾患です。
慢性胃炎が長期間にわたって続くと発症します。
萎縮した胃粘膜は、食べ物を消化する機能が低下するため、胃もたれや食欲不振といった症状があらわれます。
萎縮がひどくなると、胃の細胞が“腸の細胞みたいなもの”に変わる「腸上皮化生」と呼ばれる状態になるため、早期治療が必要です。
これは胃がんのリスクが高まるサインとされています。

胃潰瘍

胃潰瘍とは何らかの要因で胃酸と胃粘液の分泌バランスが崩れ、胃の組織が失われる疾患です。
ピロリ菌の感染によって発症することがあり、胸やけや吐き気、みぞおち部分の痛みなどが起こるケースがあります。
胃壁にダメージが蓄積し、出血が起きている場合は、血便が出ることもあります。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍は十二指腸の組織が胃酸でダメージを受ける疾患です。
胃酸と胃粘膜の分泌バランスが崩れることで発症し、ほとんどはピロリ菌の感染によって引き起こされます。

十二指腸潰瘍を発症すると、吐血や下血、痛みなどが出る可能性があります。
十二指腸の組織は胃壁よりも筋層が薄いため、胃酸によるダメージが受けやすいことから出血しやすいのが特徴です。
ピロリ菌が確認された場合は除菌治療が必要ですが、出血している場合は内視鏡治療による止血が求められます。

ピロリ菌感染を確認する検査方法

ピロリ菌を検査する方法は、内視鏡検査あり・なしで異なります。

内視鏡検査ありの場合は、以下の検査が一般的です。

  • 迅速ウレアーゼ試験
    胃の組織の一部を採取し、ピロリ菌が持つ尿素を分解するウレアーゼ酵素の働きを利用して特殊反応試薬に付着させることで存在の有無を判定する。
  • 組織鏡検査
    胃粘膜を採取し、染色後顕微鏡でピロリ菌の有無を診断する。
  • 培養法
    胃粘膜を採取し、すり潰した状態でピロリ菌の発育環境で培養し、存在の有無を調べる。

内視鏡検査なしの場合に実施する検査としては、以下が挙げられます。

  • 尿素呼気試験
    検査薬服用前後の呼気を採取し、ピロリ菌のウレアーゼによって作られる二酸化炭素量を測定して診断する。
  • 抗体測定検査
    血液や尿に存在するピロリ菌の抗体を測定し、診断する。
  • 糞便中抗原検査
  • 便におけるピロリ菌の抗原の有無を調べる。

ピロリ菌は放置しても大丈夫?除菌方法は?

ピロリ菌の感染が判明した場合は、医師に相談したうえで除菌治療を検討しましょう。
ピロリ菌の除菌治療では、内服薬を飲み続ける必要があります。
その後、再度ピロリ菌感染の有無を調べる検査を実施し、ピロリ菌が存在していなければ除菌治療は成功です。

ピロリ菌の感染を放置すると、さまざまな病気の発症につながり、健康被害が起こります。
被害を最小限にするためにも、胃に異変を感じた場合は医療機関の受診を検討してください。

参考文献


 

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